2012年12月20日木曜日

UMPCは死んだのか?(5)

自己満記事、UMPC興亡記。
これこれの続き。

今回のお題は、
5.UMPCは復活するのか?
前回、UMPCというジャンルが事実上滅びるまでを書いたが、タブレットに駆逐されたUMPCが復活する可能性について、Windows 8タブレット、Atom Z2760を軸に考える。
いわば未来予想記事。当たってたら誰か褒めてほしい。

さて、前回までの話をまとめてしまうと、現在PC市場にUMPCは「存在しない」。
その原因をiPadに始まる「タブレット」というジャンルの出現に求めたが、タブレット全盛期となっている2010年代前半、果たして従来型のUMPCは復活するのだろうか?
その鍵は、またしても「タブレット」なのではないかと思っている。

今年のPC業界にとって大きなトピックの1つはWindows 8の登場だろう。
Windows 7からWindows 8への変化はほとんど全てタブレットへの対応と言えるだろう。
Metro UIことModern UIに代表されるマルチタッチへの最適化も当然ながら、起動/終了の高速化、Connected Standbyの仕組みなども常時起動・即復帰が前提となるタブレットというデバイスをターゲットにしているからこそ導入されたものだろう。

Vistaに続く失敗作とも陰口を叩かれがちなWindows 8だが、そのあまりにもタブレットに特化した進化の方向性は、そりゃデスクトップユーザからすれば駄作にしか見えないよ、と思う。タブレットを意識、というよりは特化しすぎた結果、デスクトップにおいてWindows 7を駆逐するのは難しいように思える。

とはいえ、その代償としてWindows XP TabletからVista、7へと続いてきたタブレット/マルチタッチへの対応はかなりの進化を遂げており、初めて「タブレットらしく使える」Windowsとなっている。デスクトップではイマイチだが、フル機能タブレット&ノートPCであるVAIO Duoではその実力を遺憾なく発揮してくれる。

Microsoftがタブレットに注力しているのは自らSurfaceを投入していることからも明らかで、Windows 8はiPad、Androidが支配する世界へ切り込む潜在能力を充分に持っていると思う。

が、まだ足りないものがある。 OSを載せるプラットフォームである。
VAIO Duoのような従来のUltrabook系プラットフォームでは、性能は圧倒的ながらバッテリー駆動時間・大きさ・重さの面でノートPCの延長線にあってもiPadのようなタブレットデバイスにはなり得ない。
逆にiPadやAndroidと同じようなARMプラットフォームにWindowsを載せようとしたのがWindows RTだが、従来のWindowsアプリが動く強みを失ってはただのアプリが少なすぎるタブレットでしかない。

そこで登場したのがAtom Z2760というCPU、そしてそれを載せたプラットフォームとなるClover Trailである。
「スマートフォンに載せる」という野心と共に登場したAtomだが未だ省電力性はその域には達せず、UMPC用CPUとして使われた挙げ句Atom Z6xx世代に至っては載せるデバイスがほぼ無いということで一時期は消え行くCPUかのような惨状だった。しかし、スマートフォンより大きいCPUが許容されるタブレットというデバイスの出現と、それに遅れてタブレットの上で動かす価値のあるWindows 8の登場によって風向きは変わった。Windows 8タブレットという、Atomが必要とされるセグメントが完成したのである。そこで現れたのがZ2760だ。

搭載タブレットがまだほとんど世に出てないようなので実際の性能は未確認だが、なんだかこのCPUは相当凄いスペックを秘めている。
まずはデュアルコア。今時当たり前だがそれ以前のZ系Atomはシングルコアだった。相当のパフォーマンスアップが期待されるし、それでいて消費電力は増えていない。

そして何より驚愕なのがその省電力性能の謳い文句である。ストレージがeMMCの32〜64GB、メモリがLPDDR2の2GBに固定されてしまうことと引き替えに、インテルのリファレンス機において動画再生9時間を謳っているようだ。

「動画再生9時間」と言われてもピンと来ないが、Z2760を搭載したThinkPad Tablet 2では動画再生10時間に対しJEITA測定法で16.4時間のバッテリー駆動時間だそうだ。今時JEITA測定法なんて・・・と思うだろうが、他のJEITA測定法でバッテリー駆動時間を公表している製品と比べられるという点で重要である。

このAtom Z2760、Windows 8ピュアタブレットの大本命?ということで先述のレノボ以外にも富士通HPASUSAcerなど相当色々なところから製品が出てくるようだ。ただ、Z2760自体の製造が遅延しているのか中々発表だけで発売されないが。

さて、Windows 8タブレットの前置きが長すぎたが・・・
要は、コレ載せたUMPC出ねぇの?ということだ。
非力さが常に問題のUMPCだが、デュアルコア化でかなりの改善が期待できる。
次に問題となるバッテリー駆動時間もかなりの改善が見込まれる。ThinkPad Tablet 2は30Whのバッテリーということだが、30Whで16.4時間(JEITA測定法)というのは驚異的な数字である。なにせ、初代VAIO type Pが31Whのラージバッテリーで公称9時間駆動である。単純計算だが軽く1.7倍以上となっている。

富士通のArrows Tabでは29Whで動画再生10.5時間と30Whで動画再生10時間のThinkPad Tablet 2より公称では優れており、日本メーカーの省電力技術ならさらなる駆動時間向上の余地があるとも考えられる。
もちろんシステム全体の消費電力も違うのでバッテリー容量と駆動時間だけで全ては言えないが、そもそもタブレットが一般的なUMPCより大サイズの液晶を搭載していることを思えば本当に驚くべき数字だと思う。

パワーアップしたCPUと大幅に改善されそうな駆動時間。これはUMPC復活の契機となるか?Windows 8タブレットも含め、タブレットという存在を差し置いてなおUMPCが登場するにはまだ足りないと思う。
UMPCが再登場するには、UMPCが「タブレットにもなる」ことが必要だと思う。
要は、LOOX U最終モデルのように、マルチタッチ液晶を兼ね備えたUMPCであれば、タブレット全盛の現在においてもPC市場で存在感を発揮できるのではないだろうか?

LOOX U登場当時はWindows 8登場前であり、マルチタッチ液晶も単なるペン入力デバイスでしかなかったが、Windows 8によって小型液晶+マルチタッチを搭載したデバイスの利便性はかなり向上するはず。
製造面でも状況が変わっている。当時のUMPC向けタッチパネルは抵抗膜式が中心でかなり残念な性能だったが、タブレットの爆発的な普及、特にiPad miniやNexus 7の登場によって7インチ前後の高性能な静電容量式マルチタッチ液晶や強化ガラスは既に大量に出回っている(そのまま流用できるかは別として)。小型液晶そのものも同様である(この点に関しては、7インチタブレットで主流である1280x720の液晶では縦が768px未満のためWindows 8のフル機能が利用できないという問題はあるが)。

これらの状況を鑑みて、従来のUMPCにWindows 8タブレットのプラットフォーム、iPad/Androidタブレットのテクノロジーを導入すれば、かなり競争力のある製品が投入できるのでは?と思っている。

とは言っても現時点でAtom Z2760搭載製品はタブレットばかり、UMPCなんて出ていない、という状況だが、タブレットに関してはほぼ仕様が固定されていることから、インテルのリファレンス機改だからこそ早く市場に投入できたという見方もできる(願望)。
つまり、もっと製品開発に時間をかけた、各メーカーのオリジナリティ溢れるUMPCが出てくるのではないか・・・?と期待している。

というわけで、UMPCへの異常な執着心を延々と書き連ねてきたが、
タブレット「後」の世界に新たなUMPCが登場することを願って終わりとしたい。

1 件のコメント:

  1. カシオペアファイバ103も良かったです
    UMPC欲しいですね

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